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合同会社(LLC)設立支援.NET » Archive: 11月 2007

合同会社(LLC)の持分の譲渡・取得

合同会社(LLC)の持分とは?

法律上、「持分」とは社員(=出資者)としての地位を意味します。
ですから、合同会社(LLC)の持分とは株式会社でいうところの株式に該当します。

株式会社の場合は、株主が持分(=株式)を譲渡して投下資本の回収を図ることは原則として自由です。

それに対し、合同会社(LLC)の場合は、社員が持分を譲渡して投下資本の回収を図ることは原則として制限されています。

なぜ、合同会社(LLC)では持分の譲渡が原則的に制限されているのでしょうか?

それは、合同会社(LLC)という組織は、出資者(社員)が同時に経営者でもあるということを前提にした組織だからです。

つまり、合同会社(LLC)においては、事業を運営する上で必要不可欠な特定の能力・技術を持った特定の人物が出資者(社員)であるということに重要な意味がある訳です。

したがって、不特定の第三者が出資者として合同会社(LLC)の運営に参加してくることは防止されなければなりません。

「お金を払ってくれさえすれば誰が株主(出資者)になっても原則OK!!」
という株式会社とはそもそも前提が異なるといえます。

合同会社(LLC)の持分の譲渡制限

合同会社(LLC)における持分の譲渡制限の内容を具体的に説明すると下記(1),(2)のようになります。

(1)業務を執行する社員が持分の全部または一部を他人に譲渡するためには、他の社員全員の承諾が必要です。(この制限を持分の譲渡を受ける側から説明すれば、非社員が既存の業務を執行する社員から持分の譲渡を受けて社員として合同会社(LLC)に加入するためには、既存社員全員の承諾が必要ということになります。)

もっとも、上記(1)の「他の社員全員の承諾」という制限は厳しいので、業務を執行しない社員に関しては制限が緩和されており

(2)業務を執行しない社員が持分の全部または一部を他人に譲渡するためには、業務を執行する社員全員の承諾で足ります。
また、業務を執行しない社員の持分の譲渡に伴い定款の変更をする場合は、総社員の同意は必要ではなく、業務を執行する社員全員の同意があれば定款を変更できます。

なお、上記(1)(2)は原則論ですので、定款で別段の定めをすることもできます。

持分の譲渡制限のまとめ

  誰が持分を譲渡するのか? 誰の承諾が必要か? 定款変更の要件は?
(1) 業務を執行する社員 他の社員全員の承諾※ 総社員の同意※
(2) 業務を執行しない社員 業務を執行する
社員全員の承諾※
業務を執行する
社員全員の同意※

※…持分譲渡の承諾要件および定款変更要件の双方について定款で別段の定めが可能。

合同会社(LLC)の持分の取得

合同会社(LLC)と株式会社の違いとして注意しなければならないことがあります。

それは、合同会社(LLC)では株式会社における自己株式の取得のような行為はできないということです。

つまり、合同会社(LLC)は、当該合同会社(LLC)の社員から持分の全部または一部を譲り受けることが出来ません。

仮に、合同会社(LLC)が当該合同会社(LLC)の社員から持分を取得した場合、その持分は合同会社(LLC)がその持分を取得した時に消滅してしまい、その分、合同会社(LLC)の資本が減少することになりますので注意が必要です。

合同会社(LLC)の社員の退社方法

合同会社(LLC)は、少人数の社員で構成され社員同士が個人的な信頼関係で結ばれていることを前提としている組織です。

ですから、合同会社(LLC)設立後、状況が大きく変化し社員間の信頼関係が崩れた場合等においては、社員は退社することにより、出資した金銭の払い戻しを受けて投下資本の回収を図ることになります。

退社の方法は大きく分けて「任意退社」と「法定退社」の2つがあります。

任意退社

(1).合同会社(LLC)の存続期間を定款で定めなかった場合や、特定の社員が生きている間合同会社(LLC)が存続することを定款で定めた場合には、退社を希望する社員が6箇月前までに退社の予告を通知することで、事業年度の終了時に退社することができます。

もっとも、(1)の任意退社については定款で別段の定めをすることができます。

例えば、定款で退社の事前予告時期を短縮したり、入社後一定期間は任意退社することができないと定めることも可能と解されています。

また、

(2).定款の定めにかかわらず、各社員は「やむを得ない事由」があるときはいつでも退社することができます。

この「やむを得ない事由」とは、社員が単に当初の意思を変更したというだけでは足りず、定款規定を定めた時や入社・設立時に前提としていた状況が著しく変更され、もはや当初の合意どおりに社員を続けることができなくなった場合等をいうと解されています。

「やむを得ない事由」により退社する場合には、事前に予告することを要せず、また、事業年度の終わりを待たずに直ちに退社の効力が生じます。

法定退社

上記の任意退社の他に、法律の定める一定の事由(下記1~8)が生じた場合に社員は退社することになります。

  1. 定款で定めた事由が発生すること
  2. 社員の退社について総社員の同意があること
  3. 社員が死亡すること
  4. 合同会社(LLC)の社員である法人が合併により消滅すること
  5. 社員に破産手続き開始の決定がなされたこと
  6. 合同会社(LLC)の社員である法人が上記④⑤以外の事由によって解散したこと
  7. 社員が後見開始の審判を受けたこと
  8. 社員が除名されたこと

なお、社員が5,6,7に掲げる事由の全部または一部によっては退社しない旨を定款で定めることもできます。

相続および合併の場合の特則

合同会社(LLC)においては社員(出資者)の死亡・合併による消滅は法定退社事由(上記③④)です。

ですから、原則として社員が死亡しても当該社員の持分が相続人に承継される訳ではなく、退社を原因とした持分の払戻請求権を承継するにすぎません。

(【比較】株式会社の場合、株主が死亡すれば株式は相続人に承継されます。)

そうすると、仮に合同会社(LLC)の経営者である社員が死亡してしまった場合、後継者への事業の承継がスムーズに行えず不都合が生じる可能性もあります。

そこで、このような不都合を回避したい場合、以下のような規定を定款に定めるのが一般的です。

第 ○○ 条 (相続および合併の場合の特則)
社員が死亡した場合又は合併により消滅した場合においては、当該社員の相続人その他の一般承継人が当該社員の持分を承継する。

このように定款に定めれば、合同会社(LLC)において社員が死亡・合併した場合でもスムーズに事業の承継を行うことができます。

合同会社(LLC)の社員の加入方法

社員の加入方法

新たな出資によって社員を合同会社(LLC)に加入させる場合、原則として、その社員に係る定款の記載事項を変更した時に、加入の効力が生じます。

この定款の変更については、定款に別段の定めがない限り、社員全員の同意が必要です

ただし、定款の変更をした時点で、新たに社員になろうとする者が出資金全額の支払を完了していない場合は、出資金全額の支払いが完了した時点で、加入の効力が生じます。

社員が出資の履行をした場合には、合同会社(LLC)の資本金の額が増加します。

合同会社(LLC)の資本金の額は登記事項とされていますので、社員の出資の履行により資本金の額が増加したときは、2週間以内に、その本店の所在地において資本金の額の変更登記をしなければなりません。

ところで、合同会社(LLC)では原則として、各社員(=出資者)全員が業務を執行する権限を持っています。

ですから、合同会社(LLC)の業務を執行する権限を持つ社員の人数が増加することは、合同会社(LLC)の運営に直接影響を与えます。

また、新たな社員の加入は既存の社員の利益配当額にも影響を与えますので、場合よっては既存社員のモチベーションにも影響を与えます。

したがって、新たに社員を加入させる場合、業務を執行する社員として加入させるのかどうか、加入させた場合の利益配当はどうするのか等、慎重に決定する必要があるといえます。

なお、既存社員から持分の譲渡を受けて合同会社(LLC)に加入する場合は「合同会社(LLC)の持分の譲渡・取得」を参照してください。

加入した社員の責任

合同会社(LLC)の成立後に新たに加入した社員は、その社員が加入する以前から既に合同会社(LLC)に生じている債務についても弁済する責任を負うことになります。

新たに合同会社(LLC)の社員として加入しようと検討中の方は、この点を納得した上で加入する必要があります。

合同会社(LLC)における業務執行社員の義務(2)

競業避止義務

業務執行社員は、会社の業務を遂行する強大な権限が与えられており、また業務上の機密にも通じているため、その地位を利用して会社の取引先を奪うなど、会社の利益を犠牲にして自己や第三者の利益を図る危険性があります。

そこで、会社の利益を守るために、業務執行社員が下記1,2の行為(競業行為)を行う場合には、定款に別段の定めがない限り、当該業務執行社員以外の他の社員全員の承認を受けることを必要とし、承認を得ずに下記1,2の競業行為をした場合、合同会社(LLC)に対して損害賠償責任を負うことになります。

競業行為

  1. 自己または第三者のために合同会社(LLC)の事業の部類に属する取引をすること。
  2. 合同会社(LLC)の事業と同種の事業を目的とする会社の取締役、執行役、業務を執行する社員になること。

なお、合同会社(LLC)の業務執行社員が、他の社員全員の同意得ないで1または2の行為をしたときは、1または2の行為によってその業務執行社員または第三者が得た利益の額は、合同会社(LLC)に生じた損害の額として推定されます。

利益相反取引の制限

業務執行社員がみずから当事者として、または他人の代理人として合同会社(LLC)と取引する場合には、業務執行社員が合同会社(LLC)から不当に安い価格で商品を仕入れる等、合同会社(LLC)の利益を害する危険性があります。

そこで、会社の利益を守るために、業務執行社員が下記1,2の行為(利益相反取引)を行う場合には、定款に別段の定めがない限り、当該業務執行社員以外の社員の過半数の承認を受けることを必要とし、承認が得ずに下記1,2の利益相反取引をした場合、合同会社(LLC)に対して損害賠償責任を負うことになります。

利益相反取引

  1. 業務執行社員が、自己または第三者のために合同会社(LLC)と取引しようとするとき(直接取引)。
    • Ex. 業務執行社員が合同会社(LLC)と売買契約を締結しようとするとき。
      →社員の過半数の承認が必要
    • Ex. 業務執行社員が第三者の代理人として合同会社(LLC)と売買契約を締結しようとするとき。
      →社員の過半数の承認が必要
  2. 合同会社(LLC)が業務執行社員の債務を保証することや、その他社員でない者との間において合同会社(LLC)と当該社員との利益が相反する取引をしようとするとき(間接取引)。
    • Ex. 合同会社(LLC)が、業務執行社員の個人的な債務に関して、業務執行社員の債権者と保証契約を締結しようとしたり、債務引受しようとするとき。
      →社員の過半数の承認が必要

もっとも、この利益相反取引の制限も競業避止義務と同様に会社利益を保護するための規制ですので、あらかじめ定款で別段の定めをすることも可能です。

ですから、利益相反取引を一切禁止することもできますし、逆に、社員の承諾を一切不要とすることや、承諾の要件を緩和することもできます。

なお、利益相反取引について当該業務執行社員以外の社員の過半数の承認を得た場合には、民法108条の規定は適用されませんので、当該業務執行社員が同時に合同会社(LLC)を代表することも認められます。

競業避止義務・利益相反取引の制限のまとめ

  原則 例外
競業行為 禁止 当該業務執行社員以外の社員全員の承認があれば可能
利益相反取引 当該業務執行社員以外の社員の過半数の承認があれば可能

合同会社(LLC)における業務執行社員の義務(1)

合同会社(LLC)と業務執行社員の関係は、株式会社と取締役の関係と同じく委任関係です。

したがって、民法の委任の規定が準用されている他、合同会社(LLC)における業務執行社員には、株式会社における取締役に課せられる義務と類似の義務が会社法上課せられています。

合同会社(LLC)の業務執行社員に就任すると、種々の義務を負うことになり、また、その義務違反に関しては損害賠償責任を負う場合があります。

ですから、合同会社(LLC)に出資をしても重い責任や義務を負いたくない場合には、業務執行社員にはならず、単なる社員のままでいるという選択肢も検討するべきでしょう。

善管注意義務・忠実義務

業務執行社員は、株式会社の取締役と同様に、善良な管理者の注意をもってその職務を行わなければなりません(善管注意義務)。

また、法令および定款を順守し、合同会社(LLC)のために忠実にその職務を行わなければなりません(忠実義務)。

善管注意義務・忠実義務に関しては、定款で別段の定めができる旨の規定が会社法に置かれていないため、善管注意義務・忠実義務を定款で排除することはできません。

報告義務

業務執行社員は、合同会社(LLC)または合同会社(LLC)の社員からの請求があるときは、いつでもその職務の状況を報告し、その職務が終了した後は遅滞なくその経過および結果を報告しなければなりません。

この報告義務が民法645条の受任者の報告義務と異なる点は、委任者である合同会社(LLC)のみならず、社員も報告を求めることができる点にあります。

なお、この報告義務に関しては定款で別段の定めをすることができます。

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